「美姫…」

「煉、起きてるの?」


再度名前を呼ばれて、反応してしまう。

煉が寝てるのは確かな筈。


思わず伸ばした手で煉の頭を撫でれば、煉はゆらりとスローモーションがかかったように起き上がった。


あ、これは起きたんじゃないな。


独りでに納得して起き上がった煉を支える様に腕を回す。


「まだ夜中だよ煉、おやすみ」


付き合いの長い私だから分かる、煉の姿。

覚醒してる訳でもない、夢と現実の狭間でゆらゆらと意識をさ迷わせているのだ。


「まだ寝てて大丈夫だから」

「美姫、は…」

「私も寝るから、おやすみ」

「…おー」


おやすみ、煉。