それから、煉が起きない事を理由についつい手を伸ばした2冊目を読み終えた頃には日付は優に1つずて、時計の短い針は右に長い針は上と、直角に伸びていた。


2冊目読んだって言ったら煉は怒るな。

でも、起きない煉が悪いよね。


テーブルの上にあったらリモコンを手にしてボタンを2つ操作する。

1つはリビングの灯りを暗くして、もう1つは空調管理。

煉を起こさないように…といっても起きないのは重々承知の上だから結構雑に、煉の頭を膝からどかして立ち上がる。

なるべく足音を殺して、煉の部屋から枕と毛布を持ってきて掛ける。


「美…姫、」


毛布を煉の肩に掛けた時に、呟くような声がした。


寝言…だよね?

普段は熟睡する煉はほとんど寝言吐かないから珍しいな。