「理久!またトリップしてる。久斗どうにかして!」

誰かの声が、僕を現実に引き戻す…。

誰だっけ…。

「あっ、そうそう。寧音だ。」


急に声を上げた僕にビックリしたように、寧音が小さな悲鳴を挙げた。

「私の名前、急に呼ばないでよ!ところで、理久。今日は暇?」

「暇だったかなぁ?」

「じゃぁ…」

寧音が、話始めた時、微かな歌声が聞こえてきた。

僕の意識が全てその歌声に注がれる。

何を歌っているかは分からないけど、聞き覚えのある声。

僕は椅子から立ち上がり、外を見た。

急な行動に驚いたのか。

寧音と久斗が聞く。

「理久。何があった?」

僕はその声も聞こえず、ただ、
声のする方へ駆け出した。

ただ、ひたすらに…