僕は桜の前に佇む。

見上げれば、青く澄んだ空。

聞こえてくるのは、古(いにしえ)の楽曲。

そして、君の綺麗な声色。



目の前には校舎なんてなく、広がるのは豪華絢爛な京(みやこ)。

君は優雅な舞を披露し、観客を魅了する踊り子かい?

姿は見えぬが、その声色は気品にあふれ、観客の溜め息は君の魅了を増幅させる。



辺りは君の舞のせいなのか。

とても静粛な時が流れる。

しかし、優しい風で桜の花びらが舞う。

なぜだろうか?

見たこともない君を懐かしく思うなんて…