「その……彼女と過ごすの…かな……、って。」
目を泳がせて照れながら言う姿に、おかしくなりそうになる。
こいつのすべてが……閖という存在が、俺を俺じゃなくさせる。
「……彼女なんていねぇーよ?」
勘違いされても困るから、俺は素直に言う。
閖は、目を見開いて俺を見る。
「本当ですか…?」
「あぁ」
閖の質問に即答してやれば、なにも言わず閖は微笑んだ。
その微笑みにまた胸を打たれた。
照れを隠すように目線を上に向ければ、シンプルな時計が目に入った。
短い針と、長い針が重なっている。
9時47分か…?
中途半端な時間。
あと一緒にいれるのは…なんて考えてしまう。
どんだけ溺れてんだ、俺。
また恥ずかしくなって目を伏せたら、俺を見上げる閖と目があった。
びっくりしてなにも言えない俺に、閖は頬を染めながらも唇を動かす。
「あ、のっどーぞ、好きなところに座ってください!」
顔を隠すようにしながら俺に言う閖が、また可愛くて仕方ない。

