「かんぱーい」



男女のテンションの高めの声がカラオケの個室から外からも聞こえる。



「あーあ、遅れちゃったじゃん」



リクが少し機嫌を悪くして言った。



「別にいーんじゃね」



正直最初から乗り気ではなかった俺はどうでもいい。



そんな俺にリクは呆れながら扉の前で立ち止まる。



「本当、響夜こうゆうの嫌いだよな…女の子いるし、響夜のその面なら選び放題じゃん」



そう言って俺を見るリク。



盛り上がろうぜ?なんてことを抜かしてる。



「来てやってるだけでもありがたいと思えよ」



めんどくせぇのに…。



そんな俺に苦笑いをしながらリクは室内に入っていった。



リクに続いて俺も部屋の中に入ると、輝が声をかける。



「おせーぞ!」

「わりぃわりぃ」



上辺だけの言葉を並べてリクが謝る。



俺はそんな2人をシカトして隅の席に座る。



喉かわいたし、なんか飲むか…。



メニューを取ろうとした瞬間に、自分の席の前から甘ったらしい声がした。