「大和! 聞いてるの?」


「は、はい! すいません!」


大和は利佳子に深々と頭を下げる。


「まったく・・・もういいわ」


利佳子さんはそんな俺に呆れたのか、
それ以上は何も言わず自分のデスクへと戻って行った。


今日も利佳子さんを怒らせてしまった。


利佳子さん、俺の憧れの人・・・


篠原利佳子、この女性こそが、
俺が入社以来ずっと想い続けている女性だ。
いつか利佳子さんの様な営業マンになれたら。
そんな憧れの気持ちが、いつしか恋に変わっていた。


いつか利佳子さんを彼女にできたら・・・

俺はずっとそんな日を夢見ている。


よ~し、絶対利佳子さんの気を惹くような、
でっかい商談を取って俺に振り向かせてやる!

利佳子、待ってろよぉー!


「大和! 仕事しなさい!」


「は、はい・・・」


こりゃダメだ、利佳子は大和には一生手に負えない女だ。
密かに大和が想いを寄せていることを
知ってる人たちはそう思っていた。