夜色オオカミ





「あなたを…憎めば、楽…かもしれません。」



「……!」



確かに一時でも、慰められる気になるのかもしれない。



十夜を傷つけた…この人を憎めば…。







でも



「…でも、それじゃ…十夜が傷ついた意味なんて、消えてしまうじゃないですか……。」









願ってた。



仲間を信じて…



お父さんが伝えてくれたことを忘れずに。






きっと、残された大切なモノに気づくと



《希望》は、あるのだと―――








だからあたしは信じよう。



信じるんだ。










「十夜は、誰よりも信じていましたから。


あなた達……仲間全てを……」



「……っ!」










茶色の狼が小さく『若君…』と呟いて、涙を……溢した…。