「ひめぎみ…」
「ひめぎみー…っ」
「……っ!」
その声にビクリと肩が震えた。
恐る恐る振り返れば
紅ちゃんと蒼ちゃんが涙でぐちゃぐちゃな顔で、十夜にとりすがるあたしの腰に弱々しく抱きついていた。
周りを見れば…大人は皆呆然と立ち尽くしてる。
その中に…青白い顔でこちらを見ている橙伽さんを見つけた。
「……っ」
あたしはその姿から目をそらしていた。
やめて
やめて
橙伽さんのそんな顔見たくない。
そんな…絶望してるみたいな顔……しないで…。
見たくない現実を…あたしに教えないで…。
「……ふ……っ…ぅ……!」
口を押さえて嗚咽を堪えた。
身体中から力が抜けて…ぺたりとその場に座り込んでしまった。
ひやりとした土の感触にそこから冷たくなっていくような感覚がした。
ボタボタと…大粒の涙が十夜の頬を濡らす。
心がピシリと音をたてて崩れ落ちそうだと感じた時――
フ…と、あたしの前に影が落ちた。
「花嫁……」
掠れた声に反応して…顔をあげた。
そこには―――
「紫月……さ…ん……?」
「………。」


