いつの間にか紫月さんは人の姿に戻り、もう立ってはいられなかったのか



…両膝をがっくりと地面につけて、だらりと両腕を垂らして…声にならない涙を……心花を見上げて流していた。



人の姿に戻った彼はあちらこちらに怪我をしていて…その手は赤黒い血がついていた。



きっと十夜も…こんなふうに怪我をしてるはずだと…胸が痛くなる。



『……紫月…?』



「………っ」



優しく響く心花の声に恐る恐る震える腕を持ち上げて、心花に向かって伸ばした。



けれど…



「……!」



『……。』



伸ばした手は、透き通る心花の身体に触れられることなく…宙をかいた。



心花は困ったような顔をして眉を寄せて笑っていた。