「行かなきゃいけないんです。」
はっきりと言い放ったあたしを見て、橙枷さんからグルル…と苛立たしげな唸り声が響いた。
目の前の狼がギュッと眉間にしわを作った。
「…なりません。」
そして迷うことなくそう告げる。
「私達も、あの場に行くことを若様により禁じられているのです。『けして手を出すな』と。
自分が全てに決着をつけるのだと…そうでなくてはならないと…
私達も身を切られる思いで従っているのです……!
貴女が現れれば、若様の気がそれます。
行って…貴女に出来ることがおありですか?」
「……っ。」
…おまえに足を引っ張る以外になにが出来る…?
それは、そういう意味だ。
あの橙枷さんが言葉も選ばずに言い放ったんだもん…。
絶対にあたしをここから出す気はないんだろう。


