あたしは十夜にくっついたままふわふわあったかな黒い毛皮を堪能中。



十夜がいれば畳だけの部屋だってちっとも寒くなんかない。



だからまだまだくっついていたいのに…



急に十夜がピクリと顔をあげ、その黒い耳をピンと立てている。



「十……――!?

ちょっ…!」



どうしたのか聞こうと声をかける前に、たちまち十夜の姿は人の姿に変わって…あたしは裸の十夜の胸に倒れて慌ててしまう。



狼とは違ってやっぱりこの姿の十夜には無駄にドキドキしてしまって、心臓に悪いんだもん…。



「あー…名残惜しい。

もうちょいこの姿の祈咲を可愛がりてぇのに……」



「なっ…何言って……っ!!」



本当に残念そうな顔をした十夜のあまりにもストレートなセリフにぼんっと音がたちそうなほど顔が赤くなった。