連れて来られたのはお屋敷から少し離れた所に建つ小さな離れで… 今はほとんど使われていない茶室だと十夜が言った。 目を凝らすとほのかな月明かりだけが差し込む六畳ほどの薄暗い和室の片隅に茶道具が置いてあるのがわかった。 ひんやりとした畳の上にそっと下ろされる。 無言で見上げると、 「ベッド…ねぇけど、…待てないから。」 「………!」 潤んだ夜色の瞳に見下ろされ、そのセリフにカッと全身が熱を持った。 「……食っていい…?」 「………。」 そっと目をとじて…答えた。 ――――食べられたい。