「それで…、どうなんだよ…っ?」
聞きたくないけど聞かないわけにもいかない十夜の声は微妙に小さい。
「それが連れて行く直前に、父…おまえのお祖父様に見つかっちゃって。
話したら無言で十夜を取り上げられたんだよね。」
「……爺さん…ナイスファインプレー…。」
その答えに十夜はどっと力が抜けたように長い溜め息をついて、肩を落とした。
「つーか、何の話だ…。」
そうつぶやいて、縁側にどかっと座り頭をかいた。
ふわりと吹いた夜風が十夜の髪と足元の草を揺らしていた。
「………。」
そんな十夜を黙って見ていたお父さんは、ほんの少し苦笑をもらして…
「……最初はね、思っていたんだよ…。」
「……え…?」


