夜色オオカミ





「…っ、ざ…っけんじゃねぇぞっ!!?クソジジイーー!!!」



「えっ、なんで怒るの?」



「………。」



本気でびっくりしてるおっとりしたお父さんに、怒鳴る十夜の声を聞きながら、そりゃ怒るわ…と心の中でツッコンだ。



「どこの世界に赤ん坊に《犬の乳母》つけるヤツがいるんだよっ!?

常識で考えやがれ!!」



「はっはっは。…十夜、私達半分は犬みたいなもんじゃないか。」



怒る十夜に対し、お父さんはまるで悪気のない様子。



いや、それ言っちゃ駄目だと思います……。



十夜は何かに気づいたようにハッと目を見張ると益々青ざめて…



「まさか…あんたマジで俺を典子さんに預けたんじゃ……!」



青い顔でお父さんを指差す十夜の右手はぶるぶると震えていた…。