「…《典子さん》て誰だよ…。
乳母(うば)でもいたのか…俺には…」
十夜はちょっと拗ねた様子で、ぶっきらぼうな小さな声を出した。
だけど、さっきまでの固い強ばった表情は消えていた。
あたしも聞きたかった十夜から出た疑問にお父さんに期待のこもった視線を向けた。
お父さんは一つにこりと微笑むと…
「典子さんは、子沢山のベテラン母さんだよ。
紫炎伯父上の所にいたんだ。
生んだ子供の数は軽く十(とお)を超えていてね。
十夜も頼めないものかと思って…
丁度その当時、5《匹》の子供を育てていてね~。」
「「………。」」
今、なんか……
違う単語……出ませんでした?


