「………っ!!」



「………。」








――――キラキラと



砕け散った硝子の破片をその身に纏わせ



月の光に輝くその夜色の美しい獣―――










「…………十……夜……?」



絞り出すように出した声は弱々しくて、



目の前の狼をけして夢だとは思いたくないあたしの不安そのものを映したような声だった。



狼は



まっすぐにあたしを見つめ……










「…………祈咲……。」



「…………!!」










あたしと同じように、



不安気な声で、あたしを呼んだ―――