あたしはその場にぺたんと座り込んでいた。



目の前には、……あたしを見つめる深い紫の瞳。



「………ぁ……」



声が、出ない。



身体が、動かない。



まるで石像になってしまったような自分。



「やめて……!!紫月…っ、姫君は若様の花嫁だ!!」



そんなあたしを庇うように、狼に変化した二人が立ち塞がった。



「お願い……!おれ、そんな紫月イヤだよ!!」



蒼ちゃんが泣きそうな声で紫月さんに必死に訴える。



「…………。」



紫月さんはそんな二人を



あまりに冷ややかな瞳で見つめていた。