「お疲れ様です。」

ガラリとドアが空き、入って来たのは・・・・・・。


?!!!

あれ??


私は自分の目を疑った。

入ってきたのは山本教官。

私たちの教養を担当してくれている教官。


・・・・・・おかしいな?

昨日谷川教官が学科聞きに入ってもいいって言ってくれて。

さらに私は念には念をという事で、事務所でこの時間の配車を見てきた。

確かにそこにはこの時間は谷川教官の名前になっていた。


でも私の目の前の教壇に立っているのは山本教官。


何かあったのかと私は心配になる。

「今日は・・・6人と後ろ2人ね。」

山本教官は何事もなかったかのように、教習原簿の枚数を数えて自分のケータイを取り出す。

そして事務所に連絡をしてから一言。

「教習生のみんな。見た事があるかもしれないけど、今日はスペシャルゲストが後ろに座ってるよ。この2人はこれから教官になりたいんだって。勉強中とはいえ、教官見習いだからこの時間質問はあの2人にしよう!」

こう言ってのけた。

ちょっと・・・・・待ってよ。

私の動きが止まる。

気配だけだが一緒に座っている笠井君も固まっているようだ。

「じゃあこの時間って私たちは当てられないってことー?」

教習生の女の子が声をあげる。

「希望があれば当てるけどどうするー?」

その女の子の話し方に合わせて返事を返す山本教官。

なんだかやっぱりこの教官もおもしろい。

「希望なんてないし~。ゆめ当ててもらえば?」

初めに話をした女の子は自分の隣に座っている友達であろう女の子に話しかける。

「えっ、私もいらないし。」

ゆめと呼ばれた子も断った。

「やった!この時間当たらないな!」

この2人以外にも男の子も喜んでいる。