実は笠井君と私。

教習生じゃないし、でも職員だし、けど見習いだし・・・って相談をして、初めは一番後ろの席に座っていた。

そして見事に前に座ってって言われてお引っ越し。

「指導員になるんでしょ？やる気をみせてよ。」

こう言われてお引っ越し。


それでも後ろから二番目って言うのが、私たちの精一杯の遠慮。



さて、私はここから授業の内容、やり方だけではなく谷川教官の動きにも注目。
メモをとらないと。

人数数えて、教習生が授業受けたらハンコを押してもらう“教習原簿”の枚数と照らし合わせる。
人数が合っていたら、ケータイ取り出して事務所に人数報告。

ちゃんと出来ていないと、一年に一回ある定期検査で指摘されてしまうらしい。
だから慎重に・・・特に人数が増える時期、繁忙期には大変。


「あっ！！間違えた！！」


？？



なんだろ？？
私は思わず顔を上げた。

教卓の前で谷川教官が電話をかけ直している。


「ごめん。第一教室やっぱり５人で。」

人数の訂正らしい。
私がメモ取ってる間に人数間違えたのかな？


谷川教官と目があった。

そしてにっこり微笑まれた。


・・・・・・・・・そんな顔されたら授業に集中出来なくなる。


そんな私の気持ちは知ってか知らずか。

「いやぁ、笠井君と一ノ瀬さんも研修用に原簿置いているからさ、人数に含めて電話しちゃったよ。」

そう言ってさらに微笑む。


そう、私たちはどの学科を受けているか、記録するために教習生と同じ教習原簿を渡されていた。
学科を受けるときはいつも教卓に出す。

教習生と一緒。


でも、教習生のと混ぜちゃうとごちゃごちゃになりそうだから、分けて別に置いていたはずなんだけどな。