教室に入ると・・・

いち、に、さん・・・・・


教習生は5人。


見たこと・・・あるかな。


私の職場、この教習所は合宿もしているから県外からのお客さんもたくさんいる。
だから冬の忙しい時期が終わって、閑散期と呼ばれる時期に入ってもお客さんはいる。

この教室内にいる教習生もみんなここ二、三日に入校したばかりの合宿生だ。


笠井君と私は後ろから二列目の廊下側の席に座った。


なんで一番後ろじゃないかって・・・・・。



「はい、お疲れ様~。」


そう言って入ってくる教官。

私が教習生の頃からいた教官。
教習所に行くのが楽しくなった、楽しくしてくれた教官。


―――――私が、気になっている教官。

谷川教官が入ってきた。

教卓の前に立って一言。

「一番後ろは避けて座って下さいねー。」


谷川教官がこう言うから。

続けて

「人が少ないのにみんなが一番後ろだと、なんかオレ避けられてるって感じがするじゃん。その空気が嫌だよね~。」

こんな風に言うから、教室内に微かだけど笑いが起こった。

こうやってみんなの気持ちを楽にさせてから授業を始める。
特に入ったばかりの教習生は緊張しちゃってることもあるし。

学校は学校でも、高校や大学の授業とは少し雰囲気違うかな。

色んな年代の人がいるし。

うちの教習所では地域も違う。


そんな中で授業をしていく、それも私たちにわかりやすく。
そして楽しく。

これが谷川教官の学科のやり方だった。


変わって・・・ないなぁ。