夢守



外は静かです。
聞こえるのは、風が揺らす木の葉の音。
聞こえるのは、波が押し寄せてはかえすさざ波の音。
聞こえるのは、楽しそうな笑い声。
 
太陽がさよならと言ったのは、もうずいぶん前。
今は月が、真上に昇り私たちを優しく見つめています。
『さぁ、もうおやすみなさい。眠ればきっと楽しい夢が待っているよ。朝になればまた友達と元気に遊べるよ。素敵な一日が待っている。だからもう、おやすみ。』
そぅ優しく月はみんなに話し掛けます。
 
動物も虫達もみんな一緒に眠ります。
 
象は土のベットで眠ります。大地の暖かさを感じながら暖かい夢を見ます。
 
鳥は木の上で眠ります。しっかりと支えてくれる強さと優しさを感じながら勇敢な夢を見ます。
 
イルカは海のなかで眠ります。冷たいはずなのに、全てを包んでくれるから温かく感じます。波の子守歌を聞きながら、柔らかい夢を見ます。
 
てんとう虫は葉の上で眠ります。枯れてはまた青々しく生え、つぶされてもまた空を目指して伸びていく、めげない強さを感じます。
風のお話を聞いて世界中を翔んで回る夢を見ます。
 
赤ちゃんは親の腕の中で眠ります。
親の温もりと愛しいような会話を聞いて、未来を夢見ます。
 
そして私はあなたの隣で眠りたい。ただ手を繋いで笑ってあなたの夢を見たい。
 
みんなきっと素敵な夢を見るでしょう。
もう、話し声は聞こえません。
 
聞こえるのは、風が揺らす木の葉の音。
 
聞こえるのは、波が押し寄せてはかえすさざ波の音。
 
聞こえるのは、明日を夢見るみんなの寝息。
 
そんな素敵な夜を月は見守って、もうさよならと静かにささやきます。
そして月もみんなに優しいキスをおとして言います。
 
『おやすみなさい。』