「そいつの息子が、人を殺したらしいの…。」 刑務所に入れば、食事することができるから。 最低限の生活を送ることができるから。 そんな理由のために。 きっとこの人も、暗くてつらい人生を送ってきたんだと思う。 お金も無いし、ましてや親が犯罪者なんて―。 だけど、なにがあっても自分は犯罪者になっちゃいけなかった。 受話器の向こうからは物音ひとつしない。 先生は今、どんな顔をしてるんだろう。 こんなに重い話聞かされて やっぱり迷惑だったよね。 これ以上奥村のことを話すのはもうやめよう。