紫苑の伝え

私は練習の後、いつものように弓道部の練習を終えたタクミと校門の前で合流し、一緒に帰り道を歩いていた。

たわいない話を交わす。

本当に平凡なんだ。

「…おっ、まだ付けてくれてる〜」

彼がこっちを見て、ニッと笑った。

「超似合う。さすが俺様、センスいいなぁ!」

満面の笑顔で私の髪をかき分けた。

その笑顔に少し、照れ臭さが見えたのは、私の気のせい?

私は彼の手を振り払った。

「勝ってに触らないのっ!」

「なんでぇ?」

「だってさ、付き合ってもいないのに…」

「だったら付き合っちゃう?」

「…は?」

思わず飛び出た声。

「嘘に決まってんじゃーん!ははん、引っ掛かったっ」

「ムカーッ!引っ掛かってないもんっ!!」

仕返しにタクミの腕を思いっきり叩いてやった。

「いってー。暴力振るう女はモテないぞ〜」

「うるさいっ!」

「いててっ。ギブ、ギブ!!」

こんなうるさいやりとりしてたらいくら人通りが少ない道でも、近所迷惑になるのかなぁ?と思いつつも、今は気にしない、気にしない!

「まったく…なんで学校ではあんなに静かで、俺と一緒の時は元気ハツラツなんだ?」

私は彼にこう言いたかった。

(それはね、タクミの事が好きだから!)