紫苑の伝え

彼が出て行ったあと、私は首筋にかかっている謎の物体の正体を明かすべく、一回それを外してみた。

それは、小さな紫苑が光るネックレスだった。

日が少しずつ短くなってゆくのを感じる秋の夕暮れに照らされた紫苑は、光を散りばめ、輝いた。

それを見ていた私の顔は、外の気温と対照に、じわじわと熱くなっていった。


タクミと出会ったのは中学1年の木の葉が色付く季節。

私の両親は昔からタクミの両親を知っていた。

彼は両親の都合でこの学校に転校したという。

彼とは普通の友達みたいに一緒にいた。

人には見せない顔を、私は見れた。

彼といる時に、私は素直になれるんだ。

私はそんな彼に今までずっと恋をしていた。