冗談かと思い彼を見たら、彼は真剣な眼差しで私をじっと見ていた。

「…愛する人がいるからじゃない?だって…」

「ふーん。」

私の言葉が遮られた代わりに、呆気ない返事が返ってきた。

「はぁ…もういいなら早く出てって。」

彼の態度に私は苛立ちを覚えた。

「ほいほい。

あ、そうそう。これ、お土産。」

ひんやりとした物体が首筋にあたり、彼の指が髪に触れる。

「サンキュ。じゃあな。」

顔に笑みを浮かべている彼の大きな手によって髪がくしゃくしゃになってゆく。

私はそんな彼の自然な笑顔を見る度に胸が高鳴る。