重なった唇は数秒後には離れたものの、唇には熱が残されたままだった。
…ていうか、なんであたしは恭吾と…キス…。
「あああ…あたし「勝手に帰ろうとしたのと、ジュース代はそれでチャラ。な?」
とびっきりの笑顔で言われたら首を縦に振ることしかできないじゃん。
なんかずるい…。
ててて…てゆうか…わーっ!
緊張してるのがバレたくなくて、ほてった頬にジュースを当てた。
当てた右頬はひんやりと冷たさが広がって心地がいい。
「ねぇ…雨やんだかな?」
そろそろ時間も遅くなってきたところで携帯をいじっていた恭吾に訪ねる。
「んーどうだろーな?一回出るか!」
あたしの声に、携帯をいじるのをやめてこっちをやっとむいた恭吾。
その視線はすぐそらされてしまった。
「うん。行こっか!」
恭吾の後ろ姿を駆け足で追いかける。
早いなぁ…なんて言えずに丁度、恭吾の隣に追いついた時。
「おせーな…さっさと歩け。」
その言葉の後には手は握られていて、恭吾の歩くスピードも遅くなった。
気づいてくれたんだ…。
たったそれだけのことなのに、あたしの鼓動は高まるばかりで弾む心を押さえながら歩いた。
