「えっちってお前なー…」
恭吾はなんともいえないような微妙な顔をしている。
でも、お礼言わないとな…。
「あ、ありがとね。ちょっとトイレ行ってくる!」
言ったと同時に、返事も聞かずすぐそばのトイレに駆け込んだ。
雨のため、トイレを利用しているのは数人だった。
あたしは一番手前の個室に入り、タオルで一通り体を拭いた。
「あれ?」
今まで気づかなかったけど、服全然濡れてない…。
どうやらブラが透けてたのは髪から落ちた雫で、濡れてしまったんだと思う。
それでも、全然濡れずにすんだのは恭吾の学ランのおかげだよね。
心の中がキュッと締め付けられた。
…あ、待たせちゃダメだよね。
あたしは鞄の中からベージュのカーディガンを引っ張り出すと、それに手を通す。
少し整えると、小走りで恭吾の元へ向かった。
