あっ!そういえば駅前だっけ?
…仕方ない、歩きしかないよね…。
朝はあんなに晴れてたと言うのに、今にも雨が降りそうな空。
あたし、傘持ってないし…。
お願い!雨降らないでね!
心の中で唱えながら、途中小走りしたりしてなんとか雨が振る前に駅前についた。
駅前であたしはキョロキョロと周りを見渡す。
一通り見回して、ベンチに座ろうとしたとき…
ポン
と軽く頭の上に手が乗せられた。
「よ。」
そこには少し息を切らした恭吾がいた。
「うん、てか今日は何で駅前?」
「は?デートに決まってんじゃん。」
…さらっと当たり前のように言う恭吾を、あたしは顔をポカーンとさせながら見つめる。
「デ…デート!?」
「俺がしたいから。」
"俺がしたいから"なんていったその男は、最高の笑顔であたしに微笑んだ。
