「起きろよ鈴!時計みろ。」





頭上でそんな声がした。





ん…な、んか体が重い…。





不審に思いながら目をこすると、あたしの上にまたがる恭吾と目が合った。





「きゃー!変態!」





なにがなんだかよくわからないまま、おもむろにソファーのクッションを投げる。





「…てんめぇ、鈴。遅刻しそうだから起こしてやったのにその結果がこれか?」





…やばい、本気で怒ってる…。





あたしはまだボーっとしている頭をポンと叩いて、時計を見上げた。





「まぢで遅刻しそう!やっばー!恭吾、ごめん…本当ごめん。」





急いで支度を開始させた。





うぅ…朝ご飯食べれないじゃん…。





歯を磨きながら髪も整えて、同時進行したおかげでなんとかギリギリ間に合いそう。





「謝っただけで済むと思うなっつーの。しかも昨日勝手に寝たこと覚えてるよな?」





ニヤニヤと笑う恭吾に、流石に危険を察知したあたしは制服を手に取ると自分の部屋に駆け込んだ。





「ふぅ、あっぶない…。」





手際よく制服に腕を通しいつも通り着替え終わると、鏡の前で一周回った。





「あ!ボタン一個ずつずれてる…。」





最悪だぁ…。





しぶしぶ全部のボタンを外し終えた時





ガチャリ





という音とともに誰かが顔を覗かせた。