学園の下見をしているといきなり男の子があたしの方に振り返ってきた。

「ねぇー。海ちゃんってさ、竜崎グループの人間だったりする?この学校に編入してくるのってすごく珍しいから。編入試験かなり難しいらしいし・・・」

「そうなんですか。グループの人間ではないですけど…」

「あとすごく容姿もいいし。」

「えぇ!?」

あたしは窓に映る自分を見た。

ないないない。あたしが綺麗だったら世の中の人みんな綺麗だって。制服は着崩してるし。ほんとはだめなんだけど…

確かに前の学校でも男には苦労しなかったけど・・・。向こうが物好きなだけでしょ?(いや、お前普通に綺麗だから・・・少しは自覚しろよな by海の兄

まぁ、でもパパもママも美男美女だから、普通よりはいいのかもしれない。

けど、今回は目立ってしまうと困る。

あたしにはばれてはいけない秘密があるから。

「とりあえず、ありがとうございます。」

「とりあえずって――――・・・」

男の子がなにかを言いかけたけど、あたしは前から思いっきり走ってくる人に目を奪われてしまった。

その人があたしたちの前まで来ると一礼してきた。

長いまっすぐな髪を揺らしている。