「竜崎さん。」

「…はい?」

名前を呼ばれてあたしはわれに帰った。

そういえば、聖華の本棟に向かってたんだっけ?

そして今初めて度アップでKINGのメンバーの男の子を見た。

綺麗な茶色の髪に茶色い目・・・人形のようだった。

そこら辺の女の子より可愛い。

ん?でも、何か忘れてる気がする…。

思い出せない・・・。

あたしが眉間にしわを寄せていると、その男の子はにっこり笑った。

けれど、あたしはそれがただの作り笑いだとすぐに気付いた。よくいるただの猫かぶり。

何をたくらんでるの?

あたしは回想する。もしかしてDOLLのカイだってばれた?

イヤイヤ、それはない。カイの時みたいに髪の毛金髪じゃない。あたしはもともと金髪だったんだけど、茶色に染めたし。カラコンで茶色い目も黒にしてる。

一応別人。

様子をうかがっていると、声をかけられた。

「海ちゃん。着いたよ」

そうまた下手な作り笑いをあたし向けた。その男の子についてあたしも車から降りた。

今気付いたけど、今日はすごくきれいな空。

あたしは男の子について校舎に入っていく。

この学園のすごさは見た目だけじゃなかった。

まぁ、竜崎グループの立てた学校だから当たり前だけど。あたしの家ほどじゃないし・・・。校舎だけだったら。

全体でいったら、規模はすごいけど・・・