咎人の島
そこにロバの少女が流されてきたのは

夏がちょうど終わる頃でした

船から下りても
ロバの少女は何もいわないもので

新入りを見に集まった野次馬たちも
一人散り
また一人と

数を減らし

残ったのは三日前に来たばかりの蓮(れん)だけ

といっても
その名をもらったのもつい三日前の蓮にはまだなじめない名前です

ロバの少女は

樹(みき)という名をもらいました

名前を付けるのは
新入りの代わりにこの国をでれる人

女は猿の仮面を起き名を返した

彼女の名前はミキ

そう

名を返す


そして
ロバの少女はミキになった
猿の女は仮面を砂浜に置き
晴れた顔を少しだけのぞかせた


面には
それぞれの罪があると

その罪は誰もが違い
仮面は誰もが違う

誰も罪を語らない