キミの手の奥の僕




「おっはー、尚!」




突然未玖くんが叫んで、その男の人に手を振った。




尚と呼ばれた男の人は未玖くんのほうを向きスタスタとこちらに近づいてきた。





もしかすると、未玖くんの友達かな?




いやでも…まさか、こんな柄の悪そうな人が未玖くんみたいに可愛い男の子と仲がいいはず…。




「…俺の席どこだよ、未玖」




「えっとねぇー、多分向こー!」



窓の方を指さして男の人に言う未玖くん。



普通に会話しとるし!




…でもやっぱりそうなりますよね…と一人で突っ込む。




未玖くんに言われて、「何処だよ」と言いながら言われた通りその場所に向かう男の人。




そんな彼に座っていた女の子がここだよと教えると、彼は小さく礼を言って座った。





そんな彼に、クラスの女子は目をハートに…。





私はまさか沙和も…と思い、恐る恐る後ろを向くと小さく欠伸をして廊下の掲示を見ていた。