夢の中

「僕はある日ココと会った十字街にいたんだ。

そこから遠くへ行くこともできなかった。

かろうじて名前と歳は覚えていたけど、それまでの記憶が僕にはなくて、そこを歩く色々な人に聞きまわった。

ここはどこなの?って。

だけど、誰も聞いてくれない。

というか、聞こえていないようだった。

ずっと孤独だった。」

クウの声は震えていた。

今にも泣きそうだった。

「だけど、あの日。ココに話しかけたら振り向いてくれた。孤独から救ってくれた。

すごく嬉しかった。」

私はうなずく。

「だから、君が誰よりも大切なんだ。君は僕の話が聴こえる?」

私はうなずき続けた。

「ココがつれてくる友達は、僕のことが見えないかもしてない。」

そして最後に、間をおいてこう言った。


「僕のこと、怖いって思う?」