広瀬に悪気は、ないってわかる。

わかるからこそ、焦る。



ため息をついた俺は、自分の席に腰を下ろした。


まだ持ってたらしい、白いチョーク。

その短くて白いチョークを、ポケットに突っ込んだ。


顎に手を置いて、窓の外を静かに眺めた。