純情オオカミ








「!!」


私の目の前には服に血がついた
男の子たちが何人か倒れていた。


私の鼓動は一気に
大きく、速くなっていく。

「怖い」この言葉だけが頭を
駆け巡りその場に立ち尽くす。


「…なんだよお前」


声をかけてきたのは1人だけ
ケガしてなくて背の高い男の子。

髪の毛は襟足が長いオレンジブラウン。
目は少したれ目とても整っている顔。


「……」

「なんとか言えよ」


低くて不機嫌そうな声と
恐怖で私の目から涙が零れる。


「…っ…どうしたんですかぁ…!」

「…え?」

「…み、みんなケガしてるのに
なんで助けてあげないんですか…!」


私は止まらない涙を
服で拭いながら精一杯話す。

するとその背の大きい男の人は
私の方にゆっくりと向かってくる。


こ、怖い…!!


無意識のうちに後退りする。