結局、快斗くんに
払ってもらっちゃった…

ありがとうございます。
本当にありがとうございます。

私は瑠衣と快斗くんと
少し距離をおいて歩く。


「…なぁ」


私のちょっと後ろを歩く
ハルくんが私に声をかけた。


「…な、なんですか?」

「お前さー」

「……?」


私は体の向きを変えずに
歩きながら次の言葉を待つ。


「男苦手だろ?」

「えっ!?」


私はびっくりしてぐるっと
ハルくんの方に向き直した。


「やっぱりなー」


得意気にニコッと笑う。

でもその後すぐに表情は変わり
黙り込んで眉間にしわをよせた。


「…どうしたの?」

「良いこと思いついた」

「え?」

「亜緒の男ギライ
俺がなくしてやるよ」


…いや、いやいやいやいや。
無理無理無理無理無理無理。


「さっそく明日から作戦開始な!」

「いや!あの!わた…し…」

「…なんか文句あんのかよ
おい、なんだよ、言ってみろ」


こ………怖……。

超睨まれてる。
超睨まれてる。


「……ないです」

「きこえねーぞ」

「…全くないです」


この時、この瞬間から静かで
平和な生活は狂い始めたのです。

別にこのまま男の子苦手なでも
全然へっちゃらで生きていけるのに…。

私はやる気満々のハルくんを
ぼーっと見つめてため息をついた。