純情オオカミ








みんなが話している中
私はパクパク食べ続ける。

もちろんおいしいのもあるけど
なんというか、余裕がないんだ。

慣れてない環境でのご飯。
男の子の前にしてのご飯。

『嫌』とかの感情じゃなくて
どちらかというと『不安』な感じ。

嫌なことはないけど
なんか泣きたくなる。


「…」


私は食べる動作を一旦止める。


「どうした?」


ハルくんは私に小声で話しかけた。


「…なんでもないです」


男の子が苦手なんて言えない。
手違いで一緒に居るだけだし。

今だけ我慢すればいいんだ。


「無理して食うなよ。
気持ち悪かったら残せ」

「…大丈夫です」

「そっか、ならいいや」


長い手が私の頭までのびてくる。
それにびっくりしてギュッと目を瞑る。

ゴツゴツした大きな手が
私の髪を不器用に撫でる。

私が手を退かそうとすると
それと同時に手は離れていった。