純情オオカミ








えーー!!きつい!!気まずい!!

もちろんファミレスまでの10分
瑠衣は快斗くんと歩くだろうし…

そしたら私はこの人と一緒。
私は1人心の中で慌てる。


「じゃあ行こーう!」


当然のように2人は
手を繋いで前を歩き始めた。

私はその場に少し立ち止まる。


「行かねーの?」

「…え、あの、行きます」


その言葉で立ち止まっていた
場所から少しずつ前に歩き始めた。


「亜緒ちゃんだったよな」

「…っ!」


お父さん以外の男の人に名前を
呼ばれたのが久しぶりでドキッとする。

低くて男の子っぽい声。
意外と優しい声してるんだな。


「おーい亜緒ちゃーん?」

「…はーい」

「俺の名前知ってる?」

「…し、知りません」

「森川陽紀。ハルキでも
なんでも適当に呼んで良いよ」


人懐っこい笑みを浮かべる。
わりと、いい人?いや、でも怖い。


「…ハルくん?」


私は控え気味に呼んでみる。
なんか恥ずかしい、照れる…。