これがいわゆるリムジンと言うやつか。
流石にテレビドラマで見るほど長くないが、充分立派で庶民の私には目眩がするほどだった。
人生初のリムジンも、こんな状況じゃなければもっと楽しめただろう。
やたら近い所に座る橘は長い足を組みながら、私をじっと見つめていた。
例えこいつがド変態でも、美形に見つめられるなんて慣れてないし恥ずかしい。
「…じろじろ見ないでよ」
「おや、恥ずかしがっているのかい?有希は本当に可愛いね」
「てか誰が名前で呼んでいいって言ったのよ」
そう言えば朝からずっと呼び捨てにされてる気がする。
「僕と君の仲じゃないか!
ああそうだ、僕の事も『小太郎』と呼んでほしいな」
「嫌だよ何で私が」
「ああその冷たい視線がたまらない…」
会話が成立しない…!
鳥肌がたったので、ヤツの高そうなローファーをはいた足を力の限り踏みつけておいた。
