王子な彼の恋は盲目



…ちょっと待て

橘は

何故 私の体操服を 持っていたのか


この質問に答えていない。
むしろこの謎の告白でうやむやにしようとしていないか?







「あのさ、橘」

「ああ、返事なら急がなくていいよ。落ち着いて考えてくれ」


「いや、そんなことより何で私の体操服持ってんの?」





有り得ない量の汗が噴き出した橘は、今まで見たことのないような顔をしている
こんなに焦った王子は誰も見たことがないんじゃなかろうか。



いやそんな事はどうでもいい、
私は質問に答えてほしいのだ。

「橘?ねぇ、何で?」




「……秋山さん」

「うん」

「僕は君が好きなんだ」

「…はあ」

「だから君が着ていたこの体操服から香る体臭を…」




あまりにも鼻の下を伸ばしてハァハァ言っている王子に、私は飛び蹴りをくらわした。