思わず間の抜けた声を出してしまい、王子は勢いよく振り返った。
「え、っと」
何か言わなきゃ、そう思った私は他愛もない話を切り出す。
「橘も、忘れ物?」
「呼び…捨て…」
し、しまった…!
先生でさえ君やさんをつける王子を軽々しく呼び捨ててしまった…!
「ごめんっ、た、橘君」
慌てて言い直したが、彼は何故か頬を紅く染めていた。
「あの、橘君…?」
「あ、ああごめん」
ハッとした橘…君は嬉しそうに笑った。
「僕のことは好きに呼んでくれて構わないよ、むしろ呼び捨てで呼んでほしいな」
はにかんだ王子は、悔しいが格好よかった。
