あっという間に放課後になり、HRが他のクラスよりも長いうちのクラスのドアの前にはガヤガヤと人が集まっている。
黒塗りの高級車で送り迎えされている王子を校門まで送る為に、部活もしない暇な奴らが群がっていた。
「…では皆、気を付けて帰るように」
先生のその言葉を待っていた生徒たちは一斉に動き出した。
私も勿論、部活動で青春の汗を流す余裕なんてないからさっさと帰り支度をはじめる。
「有希、悪いけど今日は先に帰っててくれない?」
「あれ、珍しいねどーしたの」
「4時から彼と会うから車が来ててね」
この“彼”っていうのが美奈ちゃんの婚約者の桜庭正紀《サクラバマサキ》さん。
私たちより4つ年上の名門大学に通う将来有望な若者。
私も何度か会ったことがあるけど、優しくてとてもいい人だ。
「そっかそっか!デート楽しんでね」
「もう…じゃあ、また明日ね!」
「うん、じゃあねー」
一人は寂しいが、他に友達が居ない私はとぼとぼ帰ることにした。
