恥ずかしい思いをしたパーティーもようやく終わろうとしている。

はぁ~…………………。

長かった。

でも、やっとこれで借りは返した。

心底、ほっと胸を撫で下ろす。


「はい、注目~~~!みなさん、実は最後にサプライズの罰ゲームがありま~す!」

はぁ?!
サプライズ?罰ゲーム?
もういいよ、それ。
それよか、とっとと家に帰りたい。


司会をするのは、さっき海斗に余計なものをプレゼントした男の子だ。

「先程のプレゼントの裏に、赤丸のシールが貼ってある人、手ェ上げて!」

どこからともなく、ざわざわと騒ぐ声が聞こえ、みんながプレゼントをくるくる回しながら確認する。

そんな中、久留生海斗が手を上げる。


「いいねぇ~。では、罰ゲームは久留生海斗君に決定致しました!誰か女の子とキスを……と、言いたいところだけど、海斗はせっかく彼女を連れて来てくれたんだから、彼女とみんなの前で3分間、キスをしてもらいましょう!!」

えっ?
今、なんっつった?

キスだとぉぉぉぉぉ??


私は慌てて、久留生海斗の腕を引っ張り、キッチンに引き摺りこむ。


リビングでは「キース!!キーーーッス!!」の男どもの大合唱。


女の子達はもちろん、
「えーーーっ!いやぁぁぁ!!!
久留生君、やめてーーー!!」の批難批難の大合唱。


「ちょ、ちょっと、これは約束外です!私、あなたとキスなんて出来ません!」

「でも、盛り上がってるし……」

「はぁ?!盛りあがったらあんたは誰とでもキスするんかい!」

「誰ともって訳じゃないけど。俺は別に構わないよ、舞香ちゃんとだったら……。もしかして……俺とキスするの、イヤ?」


私はブチッと切れた。


「あんた、バカじゃないの!?嫌に決まってるでしょ!!あんたが私のパンツを捲ったせいで、あんたがのん気に救急車で運ばれた後、どうなったと思ってんのよ!!」

「ちょっ、落ち着いてよ。俺が捲ったのはスカートで、パンツじゃない」

「捲ったことは一緒じゃない!」

「いや、全然違うから、意味が……。分かった。とにかく、落ち着いて。そのことは後でたっぷり謝るから、とりあえず、キスしとこうよ」

「なんでそうなるのよ?!」

「盛り上がってるし……」

「嫌!」

「3分5,000円特別にバイト代払うから」

「キスをお金で買うつもり?!サイテー!!」

「……10,000円」

「そんなんじゃ……」

いっ、1万円?
1回のキスで1万円?!
10時間分のバイト代を3分で?

マジ?

でも……ファーストキスが久留生海斗なんかとじゃ……


「分かった。じゃぁ……15,000円!」

「……(てっ、定期代分?!)」

ゴクリと唾が喉を通過する。

「交渉、成立したみたいだね」

久留生海斗はにーーっこり微笑むと、逃がすまいとするかのように私の肩に手を回す。