「…お姉ちゃ…〈沙耶。〉

あたしの言葉を遮るようにお姉ちゃんが言った。

そして続ける。


〈やっと…立ち直れたみたいだね。

お姉ちゃん、ずっと心配してたんだよ?
ホントは、ずっと見てたんだよ
沙耶が殴られてるの見てて、助けてあげられないのすっごいツラかった。
沙耶がツラいの、お姉ちゃんもツラいんだ。

いつまでもくよくよしてちゃダメだよ?
お姉ちゃんのことなんで気にせずに…幸せにならなきゃダメだからね?〉



「お姉ちゃん…?」



〈ほ~ら!な~に暗い顔してんの!
また…みせてよ?元気な笑顔…〉



お姉ちゃんが笑う

でもその顔はどこか寂しげで

何故か…不安になった



「い…や…」


笑いたくない。
お姉ちゃんのために笑う、そのくらい簡単なこと。

〈…どうして?〉


今笑うとまた、お姉ちゃんが離れてしまいそうで怖いんだ





「いや!!!
笑ったらまたお姉ちゃん、どこかへ行っちゃうんだよ!
また…あたしから離れて行っちゃう…」


涙がでてくる。

もう、いやなんだ…


〈あたしがでてきちゃうと、やっぱそうなっちゃうか…。

沙耶?あたしはね、もう死んでるんだよ…。
もう…生き返ることはできないんだよ…〉



お姉ちゃんの笑顔が曇る。