キンモクセイ~不思議な友情物語~


「…ッうんッ」



あたしは涙でグチャグチャの顔を無理やり引き上げた






きっと引きつっていただろう

グチャグチャで汚い笑顔だっただろう





それでもお姉ちゃんは微笑んで



「ありがとう沙耶


幸せになるんだよ?


それじゃ…バイバイ、沙耶―」


「…何…言ってるの?


…お姉ちゃん?」



ピ―――




握っていたお姉ちゃんの手が冷たくなる


「どうしたのお姉ちゃん…手が…冷たくなって…」


救急車の中が忙しく動いた後



「…ご愁傷様です」



「…え?


ウソ…お姉ちゃん?

おきてよ…ケーキ一緒に食べるんでしょ!?


ねぇ…ウソですよね!?

お姉ちゃん…助かる…よねぇ?」



あたしの願いも虚しく、

辛そうな顔をしながら

「手は…つくしましたが…」




「お…姉ちゃ…イヤァァァァァァァ!!!!」