そんな事を考えていると、車がゆっくりとスピードを落として止まる
目の前には見慣れた豪邸が姿を現した
「着いたようだね、ご苦労。」
兄上は運転手に軽く会釈して車から降りた
僕はその後についで、車から降りる
古びた重たい門がひとりでに開いて、僕たちを迎え入れてくれる
渇いた煉瓦畳の地面を踏みながら、僕たちは家の中に入っていった
「お帰り、馨、漣。」
柔らかい笑みを浮かべ、僕たちの祖母にあたる人が出迎えてくれる
「ただいま、御祖母様。」
「ただいま。」
丁寧に挨拶をする兄上に比べて、僕は素っ気なく挨拶する
どうせ、作り物だ
その御祖母様の笑顔も、僕の瞳のために作られる偽物でしかない
決して、僕に向けられる笑顔じゃないんだ
そんな僕の態度に兄上はちらりと冷たい視線を向ける
兄上が言葉を発する前に、僕が口を開く
「僕は誰にどう思われようと構わない。
どうせ、【僕】をみてくれる人なんてこの屋敷にはいないんだから。」
まだ何かを言おうとする兄上を無視して、歩きだす
「で、何。
パーティーがあるんでしょ?
準備、してくるね。」
そう兄上に呟いて

