ニッコリと相変わらずの美しい微笑みを僕に向けながら、菖蒲さんは言いきった
「それで、こちらの方は?」
菖蒲さんは椿さんに向かって会釈する
「あ…、椿さんです。」
「はぁ…、椿と申します。」
「よろしくお願いしますね、椿さん。」
「椿さん、こちらは菖蒲さんです。」
僕の言葉に椿さんは小さく頷く
「菖蒲さんもやはりこちらの世界にいたんですね。」
「ええ、私も罪人みたいですから。」
「菖蒲さんは、もう試練を…?」
「いいえ、まだですわ。」
僕の質問に答えた菖蒲さんの表情が複雑そうに歪む
「自分がこれから試練を迎えるというのは恐ろしいですね。
お二方は経験されたのですか?」
「僕はまだ…。」
「はぁ…、私は受けましたが。」
僕らは歩きながら会話を続ける
「まぁ、ならばご自分の罪にお気づきで?」
「はい、試練の最中、頭の中に響きましたから。」
そういえば僕も椿さんの罪は聞いていなかった
あの声が届くのは、どうも試練が発動した際に罪人の近くにいる人間だけらしい
「それは…、なんの罪でしたの?」
「はぁ…、話すんですか?
面倒臭い。」
そういいながらも、椿さんは言葉を紡ぎだした

