そうして、水滴が滴る場所に手をやり、水滴が落ちてきたかと思えば、その水滴は椿さんの手の上でぴたりと止まる


そして水滴は椿さんの手の平の上で自在に変形し、最後には消滅した



「はぁ…、なんていうんですかね、この能力のおかげですねぇ、はい。
水を操って最初は全部蒸発させようとしたんですが…はぁ、ガラスもまじってますし…貴方もいましたから。」


「なる…ほど。
…椿さんは、カギは手に入れましたか?」


僕の質問に椿さんは一段と深いため息をついた


「これで最後の質問にしてくださいね…、はぁ。
…手に入れましたよ。」


そして椿さんはエプロンのポケットから銀色のカギを取り出した


「私への試練は、貴方を救うことでした。
水とガラスによって苦しめられていた貴方をね。
だから…無事でよかったです、本当に。
あ…、でも本当はカギとかどうでも良かったんで、さっき言ったみたいに自分を守るためだったんですけど。」